景観法を追い風に、分権を進める

3月議会代表質問Q&Aより

(大西Q1):増加する建築紛争を未然に防ぐために、各地で市民参加のまちづくり条例への取組みが進んでいます。国立市では、長年、市民の手で景観を大切に守り育てている大学通りの住宅地を蹂躙するように建てられた巨大マンションの景観破壊をめぐって住民が起こした裁判が進行中です。実際一昨年の12月に出た「建築基準法は最低基準で、これを守れば何を建ててもいいというものではない」という趣旨の民事訴訟の地裁判決は、もっとしっかり都市景観を守らなければ日本の街はいつまでたってもよくならない、風格が出て、文化の薫りがするようにならないと言っているように聞こえます。そしてこうした声が都市に住む多くの人々の思いと重なったことが、ついに「景観法」の制定を促したのではないでしょうか。国では、「景観法」を3文字にし重要な法律だとしていますが、確かにこれが景観形成元年とも言うべき流れをつくることになれば意義があると考えます。
そこで、まず、都として景観法制定の動きをどのように見ているのか、所見を伺います。

(大西Q2):景観立法は、自治体の条例が先行し、法律が後を追った格好になりました。景観法と都及び区市の景観条例との連携のあり方や、画期的な法律とはいえ、景観法には大規模な景観アセスメントの規定はありませんし、またいわゆる眺望景観に関する規定もありません。こうした不十分性に関してどのように補っていくのか、お考えを伺います。

(大西Q3):景観問題と大いに関連するのですが、平成11年から民間の確認機関でも建築確認が行えるようになりました。その結果、建築確認時に建築計画を把握して、地域の歴史や条例、要綱などに照らした指導を行う機会が失われたと指摘されています。確かに単体規定については民間の資格のある機関でも確認可能かもしれませんが、集団規定については地元の実情を熟知していないと確認できないケースが少なくありません。したがって、特に大規模建築物の集団規定に関しては、自治体などによって確認事務を行うのが妥当であると考えますが、見解を伺います。

(大西):最後に、景観法が成立すれば、条例をつくりながらまちづくりに取り組んでいる自治体にとって追い風となります。そこで問題になるのが、「用途地域の決定権の市区町村への移譲」です。全国市長会が2003年に行った調査でも、三大都市圏の約7割の自治体が最も強く主張したのが、「用途地域の決定権限の市区町村への移譲」でした。スタッフも充実している大都市圏の市区がなぜ、用途地域を決定できないのか、全く理解に苦しみます。本来国が分権改革を行うべきですが、国を動かし、分権化を進めるために、都が、地方自治法の「事務処理の特例制度」を活用して、条例により市区町村へ権限移譲し、地方分権の流れを一層確かなものとすべき時期に来ている事を強く指摘し質問を終わります。