続・12月議会報告

児童虐待・周産期医療

年が変わりましたが、引き続き昨年12月に行われた 一般質問より、2項目を掲載いたします。

Ⅲ 児童虐待について
 近年、子どもの虐待相談対応件数が急増しており、都内の児童相談所における平成19年度の虐待相談件数は、3307件と虐待相談統計を開始した平成2年度と比較すると25倍になっています。子どもの虐待の早期発見、早期対応が進む中、親元から離れて施設等に入所する子どもの数も増えつづけています。また、虐待を受けた児童の中には、発達障害や不登校など心に関わる問題を抱えている例も多くみられます。しかし、子どもの心の治療を行う専門の医師や医療機関が少なく、緊急時に対応できる精神科病棟の確保が困難なことにより、適切な対応が遅れる場合がみられます。

Q.9 児童虐待の対応を迅速かつ円滑に行うことができるように、児童相談所等と児童精神医療機関の連携を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。         

A.9(福祉保健局長)
 児童相談所等と児童精神医療機関との連携についてであるが、都は、今年度から「子どもの心診療支援拠点病院事業」を開始し、拠点病院である都立梅ヶ丘病院と児童相談所など地域の関係機関との連携強化を図っている。この一環として、先月、児童相談所と都立梅ヶ丘病院との連絡会を立ち上げた。今後、子どもの心に配慮した関わり方や困難ケースの対応方法、関係機関の適切な連携のあり方などについて検討していく。

Q.10 このような中、児童養護施設には、虐待等により情緒・行動の問題、さらには発達障害等を重層的に抱えて入所してくる児童が増加しています。今年8月の東京都児童福祉審議会の提言にあるように、激しい暴力や暴言を振るう子どもや集団生活に不適応を起こしている子どもなど、特に状態が重篤化している子ども達に対して新たな施設整備を行い、支援していくことが必要と考えます。
 虐待を受け児童養護施設等で育った子どもは、施設等を退所し自立するにあたっても、保護者の支援を受けられず、人間関係や社会生活で悩んだ時にも、適切な助言や支援を得られず就労が続かないなど、様々な困難に突き当たることが多いと聞いています。
 こうした児童を支援するため、平成10年から児童自立生活援助事業、いわゆる自立援助ホームが法制度化されましたが、今回の児童福祉法の改正によって、対象年齢が18歳未満から20未満へ引き上げられ、全都道府県での実施の義務化、さらに運営費については、補助金から義務的支出とする負担金化など、支援が強化されました。 これらの改正の趣旨を踏まえ、都としての今後の対応について伺います。

A.10(福祉保健局長)
 児童養護施設等を退所し、就労自立を目指す子どもに対し、日常生活上の援助・生活指導を行う場と自立援助ホームを制度化するとともに、独自の支援策を講じており、現在、都内に全国の約3分の1を占める18か所のホームが設置されている。今回の法改正は、社会的養護における重要な課題である年長児の自立支援に資するものであり、これまでの都の取組みを踏まえ、事業の一層の充実を図っていく。

                              
Ⅳ 周産期医療について
 大病院が数ある都内でも、妊婦の救急搬送が難航する事態が続いたことを受け、国でも、懇談会を発足させて、周産期医療と救急医療の連携についての検討が始まりました。都は、11月5日に周産期医療協議会を緊急開催するとともに、今議会に上程された補正予算に周産期医療緊急対策を盛り込みましたが、ひとりの命が失われなければ対策が打ち出せなかったことについては大変残念な思いでいっぱいです。

Q.11 都は、本年3月、「周産期医療連携ガイドライン」を策定し、都内各地域でネットワークグループを立ち上げ、総合周産期母子医療センターを中心にして、地域の病院や診療所、助産所などの医療機関等が役割分担をしながら、顔の見える連携を築き、地域における周産期医療の確保を図っていくということです。
 渋谷区にある日赤医療センターにおいては、妊産婦の日常の健康管理や産後のケア等は地域助産所が対応し、節目の検診での医学的チェックや分娩は日赤医療センターが対応するなどの連携を進めていると聞きました。助産師のきめ細かな対応を活かしつつ、医学的管理もしっかり行う優れた取組だと考えます。
 こうした実例も踏まえ、地域における周産期の連携体制作りに、どのように取り組んでいくのか伺います。                            

A.11(福祉保健局長) 
 周産期母子医療センターと地域の助産所や診療所等がそれぞれの機能や特性を活かして、連携を進めることは、安全・安心な出産の確保や医療機関の負担軽減のうえからも有である。都では、本年3月に策定した「連携ガイドライン」を基本に、各地域での優れた取組みの実例も参考に、地域の医療機関等による周産期医療ネットワークグループの立ち上げを進めている。こうした取組みを通じて地域の周産期医療を支える体制の構築を図っていく。

 周産期の救急医療体制と同時に、妊婦自身が妊娠や出産に対する理解を深め、自分の健康管理を適切に行なうことが、ミドルリスクやハイリスクの分娩に早期に対応する上で重要です。そのためのサポートとして、これまでも母親学級や出産後の訪問事業などがありますが、生活者ネットワークでは世田谷の産後ケアセンターを視察したり、地域で助産所を開業している助産師さんにもお話を伺い、将来子どもを産む立場にある若い女性、出来れば中学生くらいから、女性の生涯を通じての健康づくりを、助産師さんの力を活かして進めていくべきではないかと感じました。助産師の実態把握と活用について、都として真剣に検討するよう、要望します。    

 次回は、残された1項目「有害化学物質対策」についての予定です。