<Q10>
最後に、遺伝子組換え作物について伺います。
遺伝子組換え作物について、食べる側の不安や疑念は根強いものがあります。しかし、現在、この問題は、遺伝子組換え作物による周辺環境への汚染の問題、すなわち生産する側の問題としても提起されています。生産者が、精魂こめて作った作物が、花粉を通じて「交雑」することによって、生産者の労力が全く無になる恐れです。昨年の5月、西東京市で遺伝子組換えジャガイモ栽培実験計画の説明会には多くの都民や生産者から疑問や不安の声があがり、試験栽培が見送られました。東京では都市化が進み、農地が限られたものになったとはいえ、身近なところで生産する農産物への消費者の信頼性は高いものがあります。生産者を守り、育てることに対し、都は積極的であるべきです。昨年、実験栽培を断念した東大農場が、今年の5月に実験栽培を行う可能性もあることから、現在、都も都内での遺伝子組換え作物の栽培に係る指導指針の作成に向けて検討を開始していることは評価しますが、指針策定の目途について伺います。
<産業労働局長>
・今年1月に検討委員会を設け、都の指導指針のあり方などについて今年度中を目途に報告をいただく。
・今後、これを踏まえ、すみやかに指導指針を策定。
<Q11>
欧州では有機農業が盛んな地域で遺伝子組換え作物禁止区域〈GMフリーゾーン〉設置運動が盛んになっています。ギリシャでは54の地方政府のすべてが、またイタリアでも全土の8割でフリーゾーン宣言するなど地方政府を中心に広がっています。日本でも、滋賀県の農業者が自分の農地でGMO栽培しないことを宣言するなど取組が始まりつつありますが、GMナタネが輸送中にこぼれ落ち、道路脇などで生育していることが環境省や農水省の調査で明らかになっており、交雑が心配されています。安心安全の農産物を都民に供給する取り組みを進めてきた東京都として、東京の農業の今後のあり方を見据え、GMフリーゾーンについて、農家の意向も含め、改めて取り組む必要があると考えます。見解を伺い、質問を終わります。
<産業労働局長>
・都内農業者へのアンケート調査では、半数以上が遺伝し組み換え作物を栽培したくないとしているが、一方で消費者に安全性が納得されていることなどの条件付きであれば栽培したいという農業者も存在。
・こうした点を踏まえて現在、検討委員会で、GMフリーゾーンへの対応のあり方について検討。