昨年、わが国で初めての景観に関する総合的な法律として「景観法」が成立し、12月17日から施行されました。当日はテレビのニュースでも、国立の明和マンション裁判を例に、解説付きで報道され、「景観法」への期待が感じられました。「景観法」では、良好な景観を国民共通の資産とすることを基本理念としています。良好な景観の維持や向上には、景観要素となる個々の建物や外構の保全や規制、つまり財産権の部分的な制限が不可欠なため、法律が条例の後ろ盾になることが必要です。その意味では遅かったとはいえ、ようやく法体系が整い、これまでの自治体の「まちづくり条例」による景観保全や形成をより実効性のあるものにできるため期待されます。同法の特徴として、都道府県、及び都道府県の同意を得た市区町村が「景観行政団体」となり、建築物の形態やデザインを誘導したり、緑や里山保全などを目的とした「景観計画」を策定することが可能となりました。代表質問では、市区町村が景観行政団体になった場合、都と市区町村との調整をどうするのか、例えば、丘陵や河川のように広域的な視点からの連携が必要な地区について、市区町村の景観計画が個別に策定されることも考えられますが、その場合の調整をどうやっていくのか気になるところです。また、目指す都市の景観を単に「美しい景観・街並み」だけでなく「心地よい風景・歩いて楽しむ視点」「防災や安心・安全の視点」という日常生活のレベルに近い視点を多く取り入れる必要があると考えますが、それに対する都の考え方等を質しました。それに対し、法に基づく景観行政団体として、市区町村と協力、役割分担のもとで、多様な魅力ある景観づくりを、すすめていくとの答弁を得ました(まだ、都の確たる方向性が見られない答弁です。地域発のまちづくりを尊重すべきでしょう)。
この法律を一言でいえば、地域の特色を生かした多様なまちづくりが可能となる法律といえます。地域にあったまちづくりを進めれば、当然、多様なまちづくりが展開されます。景観法を追い風に、地域の特色を活かした多様なまちづくりが可能となるよう、都は市区町村への、人的、技術的支援を行うべきです。まさに国立のまちづくりを応援するような「景観法」ができたというのに、肝心の「国立市まちづくり条例」は条例制定に難色を示す時代遅れの勢力により上程が先送りされています。今年こそ議会をあげて制定されることを期待します。