2000年の児童虐待防止法制定以降、虐待が認知され通告や相談件数が増加しています。今年2月に厚生労働省が報告した児童虐待死は二年半で127人、死亡に至る子どもたちの7割が、児童相談所や他の関係機関でのかかわりを持っていますが結果的に虐待死を防げていません。実に7.4日に1人の子どもが虐待で亡くなっています。委員会では対応する職員人数や支援体制が充分なのかを質問、さらにネットがニュージランドの調査で得た虐待未然防止に効果的な「ミッドワイフシステム」を提案しました。
都内11ヵ所の児童相談所では、15年度、相談総数は3万件(虐待受理件数は2481件)です。それに対し対応する児童福祉士、心理指導員等は15年度138名、児童虐待に対して心理職46名、児童虐待対応員11名、家庭復帰支援員として11名。を全児童相談所に配置し相談の体制強化を行っているとのこと。その努力は認めるものの、ニューヨークでは、一人が対応するのは12件、イギリスやカナダでも一人当たり20件から22件です。日本では平均100件程を担当しているといわれ、まだまだ人数が充分とはいえません。また、複雑化困難化する相談に対応するには、児童福祉士の高い専門性が求められます。ニュージランドでは、助産師さんが産前産後を通じ家庭訪問をきめ細かに行い、産後一ヶ月からは看護師にバトンタッチし支援を続けるミッドワイフシステムで、虐待の早期発見、未然防止に効果を上げています。日本では市区町村が行う児童虐待防止ネットワーク事業がありますが、その取り組みは4割程度に留まっています。強化を求めたところ、都では、区市町村が設置する子ども家庭支援センターを中心に児童相談所、保健所、学校、医療機関、警察等の連携を強化することともに、先駆型子ども家庭支援センターで、行っている虐待防止支援訪問事業を拡充していくため先駆型子ども家庭支援センターを全都的に設置し、育児不安を抱える家庭を早期に発見し、継続的に支援する取り組みを強化すると答弁しました。その後、17年度重点事業に組み込まれました。来春以降、医療機関に報告を依頼する症状の目安事例等の統一基準をつくり、派遣、相談活動は秋から実施とのことですが、虐待対策は待ったなしです。市政都政の連携で早期実現をめざしましょう。