なぜ水道料金値下げなのか

 10月7日、第3回都議会定例会が終了しました。焦点となったのは、「水道料金の見直し」でした。都の説明では、「これまでの料金改定は、水道会計の赤字を埋めるための値上げだったが、今回は節水を促すしくみづくりと、大口利用者の負担を軽減することが目的」とのこと。値下げは歓迎するものの、なぜ?と思わず口走ってました。

<現行制度>
 水道料金は、水道管の口径別の基本料金と使った水量に応じた料金に消費税を加えたもので、口径が大きいほど高い基本料金と、多く使う人ほど単価を高くして、節水を促す料金体系になっています。特に小口利用者には、平均給水原価251円(1立方メートルあたり)より低い160円ほどを料金とする大幅な軽減措置がとられており、差額は大口利用者が負担しています。しかし、都民の平均世帯人数が減り、毎月の水道使用量が10立方メートル以下の小口家庭が44%を占めるまでになり、基本料金のみで使える水量が0〜10立方メートルと幅が大きく節水を促す力にはなっていないなど、問題ではありました。

<そこで、今回の見直しは>
基本料金のみで使える1ヶ月使用量をこれまでの10立方メートルから5立方メートルに変更し、水道料金を平均1,3%引き下げ、口座振替の利用者には、月額50円を割り引くことで、平均2,2%の値下げとする案です。水道管の口径によっては、値上げの人もいますが、従量において値下げになっており、節水をよびかける動機付けにもなっています。また、生活保護家庭にはこれまで通り減免されます。(附帯)しかし、現状で値下げをすれば、約70億円の損失といわれ、それは、350人の人員削減と業務手当ての見直しでカバーするとしています。都は、これまで、3年ごとの料金見直しを前提とした計画をたてていましたが、10年前に値上げして以来一度も値上げせず、今回値下げということは、水増し経営だったのではないかとの疑問もでてきます。また、「3年後に値上げということはないのか?」との質問には「3年後は見通せないが、金利の問題などが浮上すれば(インフレ状況になると、借金で実施した公共事業の利子だけで巨額になる)わからないという答えでした。

<十分な情報公開と説明を!>
水道は、独立採算の公営企業です。料金収入は水道施設の維持管理や給水・窓口サービスなどを賄い、さらに、八ツ場ダムなどの水源開発や施設整備費に対しては、借金(起債)や補助金、一般会計からの出資金が当てられています。この資本的収支が毎年莫大な累積赤字を生み出していることは、利用者には知らされていません。料金改定を機に徹底した情報公開が必要でしょう。
すっきりしない値下げ提案でした。