悪風を逆手に町おこし
9月2・3日と、都議会環境建設委員会視察で、山形県へ行ってきました。視察箇所は、風車で有名な立川町、砂防ダム、酒田港のリサイクル産業施設、小牧川野鳥観察館を回りました。
立川町は、庄内平野の南東部に位置し、月山山麓と、最上川の河畔に開けた自然豊かな町です。実りの秋を迎え、黄金色に色づいた田んぼが、私たちを迎えてくれました。南に月山、北に鳥海山にはさまれた山岳地形であることから、冬は日本海からの季節風、4月から10月ごろにかけて吹く東南東の強風は、「清川だし」(日本三大悪風のひとつ)と呼ばれ、農作物に被害を与え、大火の原因にもなったことから、町の人たちからは恐ろしいもの、やっかいなものと敬遠されてきました。立川町では、この悪風を逆手に取り、町おこしに利用しようと、1980年から小型風車による農業利用を目的とした風エネルギー実用化事業や国の風力発電の実験事業の受け入れに取り組んできました。現在、合計11基の風車が稼動し、年間約1267万kwhを発電しており、町内の電力消費量の約57%を賄っています。立川町の新エネルギー導入計画では、町全体で消費する電力量約2200万kwhを風力発電所を中心とした新エネルギーで100%賄うのを目標としています。
環境への影響が少なく再生可能な自然エネルギーの利用や、省エネの研究が始まっています。このような新エネルギーは、供給できるエネルギーの量は少ないものの、それぞれの地域で利用できる補完的なエネルギーとして期待されます。特に風力発電はCO2削減効果が大きいため、ヨーロッパを中心に導入が進んでいます。日本は、576基の風車で、発電量46,3万kw(2002年度末)で、第10位です。ちなみに、世界でもダントツのドイツでは、原子力発電から自然エネルギーへの転換を決定し、独自の「電力買取法」を成立させたため、風力発電の取り組みが進みました。日本での取り組みが進まないのは、電力会社による買電価格が低いためです。立川町の場合も東北電力は、1kw/h 11円50銭で買い取った電気を、24円で町民に売っています。東京でも、中央防波堤内の埋立地に2基、江東区若狭に1基、風車があり、八丈島では東京電力が風力発電に取り組んでいますが、良好な風が得られないことや、土地代が高いこと、その上、安く買われては、事業として難しいものがあります。原子力発電に頼った日本のエネルギー政策の転換が求められます。