扶桑社の教科書採択は、2001年の都立盲・ろう・養護学校での採択に続く決定ですが、多くの市民の2万筆を越える意見や危惧の声を無視した決定でした。教科書選定に関する曖昧な判断基準と、教科書選定委員会への恣意的な諮問のあり方や、今後の国際社会での孤立化を招くような認識の欠如とともに、全国に及ぼす影響を考えると、大きな憂慮を抱かざるを得ません。新聞報道によれば、6人の委員がいるにもかかわらず、議論は計5分あまりで終わったそうです。「開かれた中での採択ができない」どう考えてもおかしいですね。来年は4年に1度の全国一斉採択の年にあたり、多くの抗議の声が上がっています。
また、定例会では、男女平等教育に関する情報提供として、「ジェンダー・フリー」という用語の使用に関する見解と、都立学校長宛に「ジェンダー・フリー」にかかわる配慮事項を通知しました。
都の見解では、最近の「ジェンダー・フリー」という用語をめぐる誤解や混乱の状況があるため、男女平等教育を推進する上で、今後は「ジェンダー・フリー」という用語は使用しないこととし、配慮事項として、①教科書での「ジェンダー・フリー」の用語にかんしては、都の見解を充分に踏まえ適切に指導を行うこと。②男女混合名簿については、「男らしさ」や「女らしさ」をすべて否定するような「ジェンダー・フリー」の考えに基づいた男女混合名簿の導入しようとし、学校において混乱を招いているので、誤った考え方としての「ジェンダー・フリー」に基づく男女混合名簿を作成することがあってはならない。という、何とも中途半端な、意味不明の通知です。
憂慮される「ジェンダー・フリー」論があるなら、性差と社会的につくられた差別を意図的に混同させるジェンダー論を正し、ねじ曲げた「ジェンダー・フリー」の使用にかんする見解を示すべきでしょう。教育現場で、どのような誤解や混乱が起きているかの検証もせず、また、明確な名簿作成の基準も示さず、校長権限(名簿作成の権限は校長)を超え言及したことは、男女平等教育そのものを阻害する暴挙と考えます。
都議会生活者ネットワークは都教育委員会の判断に対し、抗議の見解を出しました。