<国分寺市のまちづくり条例>の特徴は、国分寺崖線の保全のための土地利用規制が盛り込まれたことと、都市計画提案制度の活用を促すため、市民への情報提供や提案のための書類作成などの市民参加支援策を盛り込んだ点です。2001年7月市民と行政が協働してまちづくり条例を検討する「まちづくりサロン」が発足、地域懇談会やシンポジウム、セミナー等の開催、市報での情報提供、パブリックコメントなど、広範な市民参加が図られました。また、3年近い検討期間中には、国の名水百選に選定された「真姿の池湧水群」の崖上のマンション建設計画をはじめ、相次ぐ大規模なマンションや墓地建設計画、ミニ開発等の問題に対し、乱開発や紛争を予防する手立てとして「まちづくり条例」への期待が市民、議会の双方に高まりました。今後は「まちづくりセンター」の早期立ち上げと運用が課題です。一方、
<国立市まちづくり条例>の特徴は、99年に制定した都市景観形成条例を柱とし、市民主体のまちづくりのルールを策定する手続きを盛り込んだ「景観まちづくり条例」という点です。94年、大学通り沿いの12階建てのビル建設計画に対し、「都市景観形成条例制定」の直接請求が提出されました。99年には明和地所による「東京海上跡地」に 18階建ての大規模マンション建設計画が発生、大学通りにふさわしい設計変更を求める市民の反対運動が起こりました。このように地域住民との間で紛争に発展することが多く、これまでの手続きでは、計画づくり等に市民の声を反映しにくいことや、建築や開発等における住民との意見調整が困難でした。そこで、開発行為等指導要綱を見直し、適用範囲の拡大、開発協議等の手続きを充実させ、市民、事業者及び市が協働してまちづくりを推進するための条例案ができました。策定に当っては、市民で組織するワーキンググループを設置、最終的に14回開催し、昨年11月には中間発表会を行い、広く市民の参加を呼びかけ積極的な意見交換を行ってきました。現在は9月定例会で議会の承認を待つばかりとなっています。
1992年の都市計画法改正において、市町村レベルで都市計画決定できる「市町村の都市計画に関する基本的な方針」(市町村マスタープラン)を住民参加のもとで策定することが義務付けられ、多くの自治体でまちづくり条例ができました。加賀百万石の歴史と文化に育まれ、「人気のある地方都市番付」で常に高位置にランクされる金沢市は、全国市長会会長の現市長のもと、なんと20本程のまちづくり条例を設け、開発からあの歴史的な街並みと調和した街並みを守っています。その条例のネーミング、内容も多彩です。いまや市民参加のまちづくり条例は特別なことではなく、まちづくりの本流といえます。議会をあげて制定されることを期待します。