1月16日、平成16年度東京都予算原案が発表されました。「第二次財政再建推進プラン」の初年度にあたる、今回の予算は、「財政再建に新たな一歩を踏み出し、東京の再生を確実に進める予算」とされ、内部努力を徹底し、歳出削減と財政再建への取組を強化させる。また、都民の安全・安心を確保するとともに、東京の活力再生のため、財源の重点配分と新たな行政需要に積極的に取り組むことをなどをあげています。
● 一般会計の予算規模は5兆7080億円、前年比215億円0.4%減、3年連続で6兆円を下回る緊縮型予算。
● 歳入の都税収入は3兆9206億円、前年度に引き続き4兆円を下回る厳しい状況。
しかし、緊縮財政にもかかわらず、知事公約の「新銀行設立」は、1000億円予算計上されています。「新銀行」の詳細が未だ示されないまま、巨額の支出のみ先行して決められるのは、公機関の関与する事業のあり方としては問題です。他の中小企業対策をはじめとした東京の産業施策全体の中で、この銀行がどのように位置付けられているのか予算原案からは見えません。公約というだけで、「聖域」化され、「新銀行予算1000億円」の借金や出資が都財政の悪化を招きかねない恐れがあります。
今回の予算編成では、都からの補助金削減が揚げられました。しかし、国の三位一体改革と同じく、住民にとって都や市区町村がどういう役割をすべきかの根本的改革は行われず、一部の事業が移されたり、一部の補助金が削られただけの感があり残念です。しかも、投資的経費が大幅に削減されたとはいえ、丸の内や大手町などの「都心部の再生」には、336億円もつぎ込まれています。いわゆる勝ち組の企業や高額所得者のために、緊縮財政時代に最優先で投資されなければならないのか、疑問が残ります。予算の多少が事業の重さに直結するわけではありませんが、福祉や教育など都民生活に直結し、将来の東京の本当の豊かさに関わるような施策への予算が縮小されています。金額は少なくとも、金額以上の効果を生み出すようなシステムを構築することが今回の予算では求められていたのですが、原案を見る限りでは従来通りの発想でしかありません。今後の予算審議で厳しくチエックしていきます。